常田の旧北国街道にある毘沙門堂。その角を北に曲がると通称桜木町の通りになります。
「建築は大正末期ごろと聞いています。わたしがここを買って越してきたのは昭和36年でした」と語るのは、歯科医を営む草間鉄男さん。建物は外装が下見板張りの洋風建築。以前は外科医院として使われていました。
現在診療室として使っている部屋の天井は高く、しっくいで、飾りの付いた電灯が。診察台で横になった患者さんが、いつも見つめているそうです。
「窓は、ロープで上げ下げする方式。改装するときにサッシにしようとも思ったんですが、設計会社の人に、貴重なものだからと言われ、いまでも昔ながらの窓を使っています」と草間さん。昨年夫婦で旅行したときに宿泊した「奈良ホテル」本館の窓も同じ構造で、びっくりしたとか。
「外回りの手入れが大変で、以前はペンキの塗り替えを三年ごとに。そのたびに、柱と板の配色をわずかに変えて、コントラストを楽しんでいます」
傍らの海棠が咲くころ、ピンク色の花と調和して、この洋館がいっそう際立つようです。 |