養蚕の名残、蔵の石垣
別所温泉森林公園から野倉へ向かう道の途中に、三島神社という社が立っています。この辺りの小字名は「氷沢」。三島神社の裏手に大小三つの「氷室」があります。本来、氷室とは夏まで氷を蓄えておく場所のことを意味します。養蚕が盛んだったころは、蚕の卵をこの氷室に貯蔵しておいたそうです。ここは夏でも涼しくて、少し厚着をしていかないと寒い場所。そのような場所に置いて卵のふ化を遅らせ、暖かい時期に外へ出すと、早くふ化するのだそうです。偶然かどうかはわかりませんが、三島神社の祭神は蚕の神様。塩田も養蚕が盛んだったので、当時は塩田じゅうの人たちが訪れたそうです。昔は氷室の上には大きな蔵が立っており、今でも石垣のみ、当時の様子を伝えています。
この氷室は、四月の終わりごろまで雪が積もって氷になっており、毎年五月三日に行われる三島神社のお祭りで、氷室の氷をウイスキーに浮かべて宴会を開いたことも。屋台や相撲などもやったり、とてもにぎやかな祭りでしたね。
お話(柳沢荘一さん院内) |