情緒ありロケにも
醤油久保橋は、市内にある木橋(約二十)の中で、代表的な橋といってもいいでしょう。周囲の景色とともに、風情があるということで、たびたび映画のロケなどにも使われたりします。わたしが子どものころは、今のように手すりもなく、六尺(約二メートル)幅のただの板橋だったことを覚えています(昭和十二年ごろ)。また、昭和三十四年の伊勢湾台風で全部流れてしまったこともありました。
「醤油久保」は土地の地名(小字)で、わたしどもの住んでいる日向地区からこの橋を渡った先の一帯を指しているんです。この上が琵琶塚という地籍になります。このあたりは、くぼ地のため昔から浦野川があふれ、土地の人たちを悩ましたものです。この上流にも「久保田」という地籍があり、くぼ地から転じた地名ではないでしょうか。
(お話)清水巳喜男さん |