川魚の習性、上手に生かす
ここは千曲川。すでに4月中旬から「つけば漁」が始まっています。「生態系が狂ってきているのか、昔ほど捕れないねェ」とは、西沢宇吉さん(中常田)。いまは後継者の徳雄さんが片腕となって、この仕事をもり立てています。料理としても有名な「つけば」ですが、本来は漁の方法のことをいいます。「つけば漁」とは川魚、特にウグイ(ハヤともいう)の産卵の時期、川を上る習性を利用した漁法。400年の伝統があります。人工の産卵床、すなわち「つけば」を作り、産卵に来たウグイを一網打尽にするものです。「川底の石にぬめりがあると卵を生まないんですよ」と西沢さんが語るように、卵を生みやすい環境づくりがポイント。毎日、産卵床の石に藻がつかないよう手入れをします。西沢さんは笑いながら「魚の気持ちにならなきゃ捕れないよね」と。
この「つけば漁」は、6月10日ごろまで行われ、まさに「上田の初夏の風物詩」として親しまれています。 |