確かな手ごたえ熟練の技
上原巌さん(木町)
ガラス戸越しに見える大小さまざまな篩のかずかず…。旧北国街道に近い木町の一角に上原さんの仕事場があります。今では、機械化や農家数の減少などにより、篩の需要がめっきり減ってきました。篩専門は、上小地方では上原さんだけだとか。
それでも、「鋳造所、菓子屋などのお得意から『まだやめないでくれ』と言うので、体の続く限りは注文を受けていきたい」と目を細めます。昭和四十二年ごろまでは専ら農家への行商が中心。忙しいときは、一日に十〜十五個も作り、徹夜もよくしました。現在は、注文によって作るので「せいぜい二、三個が限度。年もしたしねェ」と。
篩はヒノキ材などの曲げ輪を木鋏で押さえ、接着して継ぎ目をサクラの皮(今は代用皮)で綴じ、鉄や真ちゅう製の網をはって仕上げます。
「客に対して十二分に満足できる篩を提供したい」と手作りの良さを頑ななまでに守る上原さん。確かな手ごたえのある味わい深い品々は、ここから生まれているのです。 |