花岡塗りにかける
小林泰夫さん(木町)
「漆の場合、自然が相手。やる人によって、どうにでもなる。これでよいということはないわね」。全国でただ一人花岡塗りの手法を伝える小林さん。花岡塗りは、江戸時代の末、鞘師の花岡半兵が考案したといわれ、優雅で高尚な趣きは、多くの人に珍重されてきました。先代の里一郎さんらは、廃藩と同時に途絶えてしまったのを惜しみ、大正から昭和にかけ再興。特徴は、漆の塗りと研ぎで、両方ともたいへん時間をかけること。赤、緑、黄などの色漆を塗り、研ぎによって、それぞれの色や複雑な文様を浮き上がらせます。ときには金箔も使います。上田でも知る人の少ない花岡塗りを「何とか世に出し、後世に伝えていきたい」と小林さんは目を輝かせます。 |